労働基準監督署の調査
労働基準監督署の労働基準監督官が、労働基準法違反の有無を調査するために事業場等に
立ち入ることを「臨検監督」といいます。
その臨検監督には以下の4種類があります。
@ 定期監督
A 申告監督
B 災害時監督
C 再監督
定期監督などの主な法違反
★労働基準法関係
@ 労働時間 32条 ●時間外休日労働の労使協定が締結、届け出ているか
A 就業規則 89条 ●法改正、就業規則の変更、届出が正しく行われているか
B 割増賃金 37条 ●法定どおり計算を行い、割増された賃金を支払っているか
★労働安全衛生法関係
@ 安全基準
A 安全衛生管理体制 ●安全・衛生管理体制の選任など
B 健康診断 ●定期健康診断の結果の把握など
是正勧告とは
臨検監督の結果、事業所の労働基準法等の法律違反に対して違反や改善を促す行政指導のこと
を「是正勧告」といい、「是正勧告書」や「指導票」といった書面を会社に交付します。
是正勧告書には、違反事実の条文番号・違反事項・是正期日が記載され、指定期日までに是正
を求められ、是正報告書の提出が必要です。
監督官の訪問
監督官の訪問には、
いくつかのパターンがあり、その時々で微妙に対応方法が異なります。
@ 予告なく、突然訪問
A 事前に、書面により調査日時・必要書類を記載した文書を送ってくる
B 電話にて、調査日時を言ってくる
必要書類はそろえた上で対応できる体制を整えることが望ましいです。
また、社会保険労務士など専門家に調査の対応方法を事前に確認しておくことが大切です。
書類について
以下の書類は日ごろから、整理しておくことが望まれます。
@労働者名簿
A賃金台帳
B時間外労働・休日労働に関する協定届
Cタイムカード
D自己申告の場合その書類
E就業規則 本則とその他の規程(賃金規程など)
F有給休暇の管理簿
G健康診断の実施結果
その他
変形労働時間制の場合は、その点の管理状況
会社の組織図
雇用契約書や労働条件通知書
中小企業はここがポイント
とても多い、労働基準法32条・37条・89条違反
@就業規則 本則 賃金規程の規定内容の漏れ、不備がとても多い
(不備の原因の多くは、自前で作成したため、何が必要な規定なのかわかっていない)
A法改正に伴う変更を行っていない
B36協定を作成していない、届け出ていない。(中小企業では特に多いケース)
C時間外労働の割増賃金の計算が正しくできていない。(正確に出来ていないケース)
すぐに是正勧告を受けてしまいます。
労基署の調査は社労士へ
意外と多い送検事例
「税務調査は税理士へ」と考える経営者は多いのですが、
「労基署の調査」は総務部が対応しますが、中小企業では労働時間の管理が難題といえます。
また、税務調査よりも労基署のことを甘く考えられがちなことが原因です。
労基署の労働基準監督官は特別司法警察職員としての権限があり、強制捜査、関係者への事情
聴取などにより検挙する権限を持っています。
その後の対応や後処理にかなりの時間がとられることは、意外と知られていません。
社会保険労務士は、労務管理のプロです。
法律に従った適切な方法を指導できる立場にあり、労基署の監督官と会社との間に社労士が
入って善後策を考えることでスムーズな解決へ貢献いたします。